器用貧乏

dubrock2008-05-26


ハンカチ王子」を久し振りにテレビで見掛けた。
とは言っても、未曾有の大記録を樹立したワケではなく、打球を受けて途中降板したハナシだ。
ま、これだけのスター選手。
機会があれば一度くらいは狙ってみたくなるのが、相対する打者の人情というもの。
だから驚くほどのものでもない。

甲子園で死闘を演じ、鳴り物入りで早稲田大入りしたハンカチ王子
初年度こそは記録的な観客動員で話題を独占したが、しょせんは大学の部活動。
そんなにそんなに注目を集め続けられるものでもないのである。

方やライバルとして「ヒール」を演じた田中投手はプロ入りして早2年。
今や「楽天マー君」として確固たる地位を築きつつある。

どちらが正しいかなんて、人生にはそもそも「正しい」とか「間違い」など無いのだから、それについて論じるだけ時間の無駄なのだが、でも少なくとも言えるコトは、「18歳という早い段階で、人生を野球一本に絞るということが、田中投手には出来て、斉藤君には出来なかった」というコトだろう。
「早稲田大卒」という肩書きを得て、卒業後にプロ入りという選択肢も斉藤君にはある。
また一般企業、それもマスコミなどの花形に就職して、「あの斉藤」となるテもある。
斉藤君の選択はツブシが効いて、それだけに打算的である。

対して田中投手はというと、プロ野球選手としての限界が見えてしまったとて、それから「大卒」の肩書きを得るのはほぼ絶望的だ。
どんなにつらくても、球団から自由契約にされるまでは必死にもがくしかないのである。

しかも、ドラフトで指名されたのは、かの弱小球団楽天
この段階では、誰しもが田中君の不運を「ミスチョイス」、斉藤君の選択を「スマート」と感じたに違いない。

しかし今になってしまえば、田中君は名白楽ノムラの下で「一流プロ」の仲間入りを果たし、方や斉藤君はショボい学生リーグで故障と隣り合わせの毎日。
立場が完全に逆転したかに思えてしまうのである。

これも、引退の早いプロスポーツ選手のこと。
20年経ってマー君が引退後にナニをしていて、その時斉藤君がナニをしているかなんて、誰にも分からないのである。

落ち目の男子プロゴルフ界から切望されて、高校卒業を待たずにプロ転向した石川選手は、その後の成績がパッとしない。
このままだと、「学業に専念する」とか言い出しそうな雲行きだ。
あのプレースタイルでは、4日間の安定した結果が望めないというのは周知の事実という状況下で、「プロ」を口に出してしまうのは「若さ」以外のなにものでもない。

とはいえ、今後石川選手に活躍の場が無いとは言い切れない今の段階で、石川選手のプロ転向について論じるコトも無意味だろう。

結局、斉藤君の様に選択肢を多く残した生き方というのは、つまりはどれも身に着かないのではないだろうか。
「野球『しか選べなかった』不器用さ」、「ゴルフ『しか選べなかった』不器用さ」が、良い方向に働くコトもある。
「器用貧乏」というのが世の中にはある。
そんなコトを考えさせられた、久し振りのハンカチ王子の姿だった。