実に惜しい技術

dubrock2008-06-04


ドンキを徘徊していて、全長15センチほどの「ラジコンヘリ」が目に止まった。
小さい。
それでいて、ちゃんと飛ぶらしい。
値段にして2000円ほど。
5000円もするバカでかい「ハマー」とか「フェラーリ」とかは、それはそれでリアルであり魅力的でもあるのだけれど、カネさえ掛ければ「リアルで大きなラジコン自動車」は、技術的には何らの問題も見当たらない。
それに比べてこの「ヘリ」はどうだろう。
メインフレームは発泡スチロール製。
多少のデコレーションは施されているが、「ディテールまで忠実に再現」とかいうレベルではない。
メインローターテールローターはかなり華奢な造り。
何しろ、テールローターを回転させるモーターの小ささに目を見張る。

で、実際のトコロどうなのよ?

それが知りたくて堪らない。
しかしながら、30過ぎのオッサンが「ラジコン」てどうだろう。
しかも、そんな興味の為だけに2000円は惜しい気がする。
嫁の視線も温かいものでは決してない。
あんまりマニアック路線を行き過ぎると、本筋である「チョイ悪オシャレ路線」から外れてしまいそうなので、ココがグっと堪えるコトとする。

と、店を去りかけると、なんとUFOキャッチャーの景品に、あの「ラジコンヘリ」が並んでいるのを見つけてしまった。

とりあえず、1回。

空を飛ぶように「軽く」作られているので、予想以上に持ち上がるのに驚く。

これはイケる。

ゲット

結局、3度目のトライであっさりゲットしてしまった。

帰って早速開梱する。
中国人の手によると思われる、ちょっと違和感のある日本語の「取扱説明書」によると、どうやら「コントローラーの電池で本体を充電する」仕組みらしい。
やはりネックになったのは「バッテリー」なのだろう。
乾電池を背負ったのでは飛び立てない。
かといって、ボタン電池では不経済だ。
放電能力にも問題がある。
飛び上がるほどの電力を供給する為には、コンデンサのような、一気に放電する能力の高いキャパシタが必要になる「ハズ」なのだ。
(ホントはこのあたりを分解して確認したいトコロだが、まだ「カタチ」が残っているので止めておく。)

とにかく、1.2Vの単三電池6本を直結。
7ボルト以上の「高電圧」で20分ほど充電すると、離陸準備は完了である。

ラジコンヘリ
パイロットランプの点滅が興奮をさらに高める。
と、ココで気になったコトが1つある。
それは、

コントローラーは「上昇・下降」、「右旋回・左旋回」の2ウェイであり、「前進・後退」のレバーが無い
というコトである。

これで遊べるのだろうか。

その疑問はスグに解決する。
メインローターを回転させると、慣性力により機体は逆方向に回ってしまう。
本来コレを抑えるのが「テールローター」なのだが、突発的に発生する慣性力は自動制御されない。
ばかりか、あまりに突発的で人為的操作でもなかなか制御できないのだ。
なので、1mほどの高さまで一気に上昇させ、まずは高度の維持に努める。
この時期待は、ローターと逆方向に回転しっぱなしだ。
高度維持のコントロールができずに、メインローターの回転数が安定しないと、上昇時には逆方向、下降時には順方向の慣性力により、機体はクルクルと回りつづけてしまうのである。

スっと上昇し、ピタっと高度を維持する。

墜落を繰り返しながらそればかりチャレンジしていると、急に機体の動きがスムーズになる。
「これは?」と思っていると、機体は上昇すらできなくなる。
つまりバッテリー切れなのだ。

「バッテリーを冷やす為、飛行後15分以上開けてから再充電してください」

と説明書にあるので、再充電の時間と合わせてしばらくの待機となる。
この間に、操作についてあれこれシミュレーションしてみる。
思ったよりも手強いのである。

再充電が完了し、2度目の飛行となる。
今度は、とりあえず高度を保つトコロまではできた。
次に、クルクル回ってしまっている機体を、逆方向にコントロールして静止させてみる。
微妙なメインローター回転数の増減により、なかなか止まらない。
操作しすぎても、逆方向への回転となる。
そのうち、制御不能な状態になり墜落。

その後、何度かの飛行を繰り返して分かったコトがある。
それは、

飛ぶには飛ぶが、ホバリングすら難しい
というコト。
そして、
一回の飛行時間が、あまりに短い
というコト。

結局、とてつもなく画期的な技術ではあるのだけれど、現段階では「おもちゃ」くらいにしか利用できない。
それがこの「極小ラジコンヘリ」なのではないだろうか。
より一層の改良と試行錯誤により、この大きさで姿勢を自動制御できるようになった暁に、初めて評価される技術なんだろうと思う。

惜しい!

その一語に尽きる「極小ラジコンヘリ」であった。

えーっと、とりあえず甥っこにでも預けてみて、壊されたら内部構造の解析を考えるコトにしようか。
せっかく問題なく動くものを、わざわざ壊すコトはないだろう?