クライマーズ・ハイ試写会

dubrock2008-06-12


幸運なことに招待状が届いたので、試写会に行ってきた。
今回観た映画は欧介さんの「クライマーズ・ハイ」。
主演の堤真一という俳優は、数々のドラマや映画に出演しているにも関わらず、出世作である「やまとなでしこ」の「魚春の中原欧介」のイメージが抜けない。
ま、「良いイメージ」であるから悪くはないのだろうが、どの作品もあの時の「いい人」のイメージで観てしまうのはワタシだけだろうか。
ともかく、今回も「いい役」をやっている。

会場は九段会館
20分並んで2階の結構良い席を取れたにも関わらず、「1階の最前列ってどうよ!?」という誘惑に負けてしまい、久しぶりに最前列で映画を堪能してしまった。
このチョイスがミスチョイスであったと、今は少し後悔している。
それでも、物語に入り込めたのはこの映画が「日本語」の映画だったからではないだろうか。
ともかく、もうこの歳になると、字幕の映画を最前列で観るのは不可能になったというコトだ。

上映時間は145分と、2時間を軽く超える。
1985年の日航機墜落事故を題材にした映画だ。
「あの時のこと」を再現する本編は非常にテンポよく進行し、上映時間について気になるコトもないのだが、「あの時を回想するシーン」が急にスローテンポになり、ココで間延び感というか、「長いな」と感じてしまうのが残念だった。
っていうか、このあたりを割愛すれば充分2時間弱で収まるストーリーだし、いくら原作がそうだったとはいえ、映画化にあたって「尺」はとっても重要であり、なんでのんべんだらりと2時間半にも及ぶ長編映画にしてしまったのかは理解に苦しむ。
ま、会場が九段会館だったというのもあるが、「観ていてケツが痛い」というのは、褒められたもんではないと思うのだが。

23年も前のコトになる。
当時ワタシは中学生だったワケだが、今でもあの夜のことは鮮明に覚えている。
午後7時過ぎにニュース速報が流れ、自衛官だった父は晩酌の手を止めた。

墜ちた。

そう直感するに足る状況であったが、当時余程の災害であってもなかなか自衛隊に出動要請が出るコトはなく、500人からの乗客が乗った飛行機が消息を絶ったとはいえ、それで捜索要請が出るとも思えなかった。
それでも、「もし」要請があった場合に備えて即応態勢を取る。
それが当時の自衛隊であった。
午後9時過ぎには自発的に隊員が集まり、ヘリも全機スタンバイしていた。
しかし、ついに海自への要請は無かった。
「現状の装備品(ヘリ)では、有効視程1500mの条件で下降しながら事故機を探すことは不可能」と会見する陸自幕僚の映像が、いまでも思い出される。
あれが、(防衛費のGNP1%枠を守るとか守らないとか議論されている最中で、)「だからこそ、もっと良い装備を揃えてください」と聞こえたのは、ワタシだけだろうか。

このことは、本編でも地元の自警団のジイさんのハナシとしてチョコっと出てくる。
生還した乗客の証言でも、墜落直後はかなり人の気配があったと言っている。
墜落直後から、米軍はかなり詳細にその墜落地点を指摘していたとも言われる。
惜しむらくは、23年の歳月を経て「御巣鷹」を扱うのであるから、当然のことながらもう少し事故原因に突っ込んで欲しかったというコト。
様々な都市伝説をなぞるだけで、真新しいものは何もない。
ばかりか、途中から「人間ドラマ」になってしまっている。
ま、それも面白いのではあるが、もうちょっとなんとかならないものだろうかと言うのは、原作の横山秀夫氏に言いたい。

どうせ書くなら、もう少し取材しろ、と。

夏の暑い盛りの映画である。
陣取った席は空調が充分に回らず、観ているコッチも汗だくだった。
それは、「臨場感」という意味では正解なのだろうけど、額の汗を拭いながら映画を観たのは初めてだった。

これだから古い施設は・・・

長い作品であるし、「観るなら最新の映画館で」が必須環境の映画であった。
あ、「長い」というコトを差し引いたとしても、面白い映画ですよ、全体としては。
主演の欧介さん以外にも重鎮揃いだし。
だからこそ、なんで2時間以内に収めなかったのか。
それだけが悔やまれる、今回の試写会でした。

総合評価は、「もう少し頑張りましょう」で。w