星に願いを

dubrock2008-07-07


洞爺湖サミットが開幕した。
「エコ」を前面に押し出すコンセプトというコトで、冬場の雪を冷房に利用するという演出が紹介されているが、実際のトコロはシビアなコントロールが効かず「少人数では寒いが込み合うと暑い」というお粗末なものらしい。
またこのサミットの為だけに造られたプレスセンターは、たった1週間のサミットウイーク後には取り壊しの予定らしい。
というか、「取り壊すことを前提に造られた」というコトで、その最大のウリは「リサイクル」なんだとか。
その建設費に30億。

過疎の街に大挙して押しかけたポリスメンによって、地元周辺だけは特需に沸いているというが、ドタキャンしたサルコジの嫁によって「アテ」が外れた農協関係者などは、苦虫を噛み潰す思いではないだろうか。
はるか極東まで飛行機に揺られて、挙句に客寄せパンダ扱いでは、夫人の参加が少ないのも頷ける。

フジヤマにアキバの無いニポンなんて!

そんな声が聞こえて来そうである。

先進8カ国で話し合って、世界のあんな問題やこんな問題が解決できた時代は終わった。
だから、こんなサミットやっても仕方がない。
仕方がないのだから、止めてしまえ、と乱暴な意見を言うコメンテーターも居たが、まあやらないよりはやった方がマシではないだろうか。
あれだけエコを謳っておいて、閉会後には産業廃棄物の山。
特需に沸いた地元は閑散とし、その後始末に追われる日々。

究極の「エコ」とは、文化的な生活を放棄することである。

そんな本末転倒な結論を、10チャンネル午後10時のキャスターにしたり顔で言わせれば、それはそれで成功なのではないだろうか。
それに、「サミット(頂上)」とは言っても、今回は中国にインド、それにアフリカ諸国など総勢20にも及ぶ国々の首脳が招待されている。
「もう8カ国だけでどうこうできる時代ではない」というのは、やる側だって重々承知というコトだ。

そんな中で、議長国としてのリーダーシップとか、成果とかについて、時の宰相・福田康夫の手腕が問われている。
特に、「参加させてもらっていた30年前のご尊父」との対比がトレンドのようだ。
しかし、求められている「成果」が「エコ」についてであり、それが具体的には「温室効果ガスの排出削減に合意」という内容であるならば、その「成果」はほぼ絶望に近い。

石油産業を支持基盤にするブッシュが「二酸化炭素の排出削減」なんて、いくら自分は任期満了とはいえ、口が裂けても言える内容ではなく、それゆえ「中国などの新興国の同意が不可欠」の主張は変わらないだろう。
「先進国だから」と二酸化炭素排出に足かせを付けた状態で、環境に関する規制という規制に青天井な中国企業に太刀打ちしろなんて、とても言えた状態ではないのだ。
対する中国などが、「そもそもは先進国が出しすぎた温室効果ガス」という姿勢を崩さないのも、これも当然の成り行きと言える。
地球環境なんてマクロのことよりも、まずは自国の産業育成
それがなくして、何の外交だと言われてしまうのも自明のことであり、両者は水掛け論。
いや、意図的に水掛け論を展開することにより問題を先送りし、その隙に目的を達してしまおうという魂胆が、両者ともにミエミエなのである。
「いずれ考えなければならない問題」というのはアタマでは分かっていても、決して理解を示してはいけないのだ。

もともとFar East(極東:東の果て)の敗戦国が、アメリカの庇護のもと経済成長にだけ特化した政策で外貨を稼いだ。
その稼いだ外貨を評価されて参加を許されたのが「サミット」である。
彼らの中には、今だ「エコノミックアニマル」という認識くらいしかないだろう。
ホントに「エコ」とかやりたいなら、北欧諸国とかを主賓に招かなければならないのである。

「エコ」を掲げたフクダジュニアの戦略ミス。

なのだが、サミット会場で出迎えるちょい暴走ぎみのアシモを見て、優しく微笑む夫人の貴代子さんを見ていると、なんだか亭主の康夫にも情が湧いてくるから不思議だ。
政治家のご多分に漏れず、齢71にしてはビッとした風貌の康夫氏。
対して、少し腰が曲がりながらも、仕立ての良さそうな和服をキチンと着こなし、典型的な「上品なおばあちゃん」の風貌の貴代子夫人。
結婚するときに「政治家の女房にはしない」と約束したというが、この人なくして康夫の政治家生命は考えられない。

貶すには、あまりに品が良すぎるのである。

「最後まで看取る」という約束をしたとかしないとか、そんな品の良いおばあちゃんに、時の宰相は(実際はどうあれ)「尻に敷かれている」のだそうである。

ちなみに、7月7日はワタシが嫁さんと入籍した日でもある。
「どうしても七夕がいい」と言われて、仕事中に会社を抜け出してひとり市役所に行ったコトを思い出す。
七夕に願いを込めて、恐妻家の福田康夫氏に肖りたいものだと思う。