今一番「シェア」したいもの

「ウチのセガレがね、バイク買い換えようかなって言うんだよ。
ホラ、キミとおんなじヤツ乗ってたじゃん?
250のスクーター。
聞いたら400でも、値段たいして変わらないって言うじゃない。
そしたら、大きいほうがイイんじゃないかってね。」

話の主のご子息は、たまたまワタシと同じ250のスクーター(ホンダのフォーサイト)

フォーサイト

に乗っていて、それでこういうハナシになったのだが、この種のハナシを振られる場合得てして結論は決まっていて、ただ単に同意を求めている場合が多い。
この場合もそうだったのであるが・・・

「ふぅ〜ん、止めはしませんよ。w」

ニヤニヤしながらそういうワタシの態度が気に入らなかったらしい。
過去にツーリング先で駆動ベルトが切れ、ヒドイ目に遭ったコト。
バイパスに最近出来たお店に行って、下取り査定と代替の商談をほぼ完了しているコト。
その差定額も結構良く、手出しがあまりないコトなどを懇々と説き始めた。

「だから、『止めはしない』って言ってるじゃないですか。w」

分かっているのである。
種類を問わず、「オートバイ」というものに乗る者なら誰しもが思うコト。
それは、「もっと排気量が大きかったら、どれくらい速いんだろう。そしてどれくらい楽なんだろう。」という欲求。
そして、シモのハナシではないが、「大きいのがエラい」という心理が、バイク乗りの根底にはあるというコト。
いくら愛車フォーサイトが、オーナーズサイトで「コンパクトなボディに適度な排気量のエンジンのベストマッチで、街乗りから高速のタンデムまで万能にこなせる名車」なんて絶賛されていたとしても、そしてクソ重たいハーレーをヨタヨタしながら転がすオヤジを見掛けて、「やっぱフォーサイトが一番だよな!?」なんて言いながら横をヒョイとすり抜けたトコロで、やっぱり「負け犬の遠吠え」にしか聞こえないであろうコトも。
実際ワタシだって、余裕さえあればシルバーウイング600

シルバーウイング

とか、ゼファー1100

ゼファー1100

とか欲しいって思っている。
それに、250とはいえボディー下に窮屈に押し込められた単気筒エンジンは非力であって、「クラウン」とかに本気出されたら負けちゃいそうになるコトだってある。
たしかに「大きいのはエラい」のである。

ただ、だ。

200キロを超える巨体は、都市部での交通事情に即しているとはとても言えない。
渋滞路ではヘタしたら「アドレスV125」に負けてしまうかもしれないのである。
ま、それでも、「そんなのカンケーねぇ」と強がって、やせ我慢して巨体を操るバイク乗りも結構多いのだが、乗って楽なのは間違いなく「軽量・コンパクト」の方であって、無理してアドVに勝ったトコロで自己満足以外の何も得られないのである。

では週末のツーリングはどうだろうか。
さすがに「アドレスV125」でタンデムツーリングはムリである。
やって出来ないコトはないが、30過ぎてやろうとは思わない。
愛車フォーサイトではどうか。
高速も飛ばしさえしなければ問題ないが、「建設機械積んだトレーラーの後ろを70キロで追走」なんて拷問だ。
つまりココで、「やってできないことはないが、出来ればもう少し排気量が欲しい」となるのである。

ただ思い出して欲しい。
1年に何回、そうやって高速道を使ってツーリングに出掛ける機会があるだろうか。

冬のツーリングは前席はともかく、乗ってるだけの後席には地獄だ。
寒さと眠気の戦いという、雪山で遭難したみたいなハナシがリアルに待っている。
かといって夏場は、熱い日差しに路面の照り返し、加えて上がってくるエンジンの熱気。
後席だけでなく前席の運転手だって地獄なのが、夏場のツーリングなのだ。
「傍から見るほど爽快でないのが、バイクでのツーリング」であって、つまりベストシーズンは「春」と「秋」に限定され、いくら「ベストシーズン」とはいえ毎週ツーリングなんて言ったら彼女からフラれること間違いなし。

となると、年に4回も行けたら御の字なのが「高速道を使ったツーリング」なのではないかというコト。

そんな、年に数回の為に日常の軽快な「足」を手放すとは何たる損失。
なのだが、欲しくなっちゃってるヒトにそんなコト言っても聞く耳を持つハズがない。
やってみなけりゃ分からないのである。
だからこそ冒頭の、

「ふぅ〜ん、止めはしませんよ。w」

になるのだが、件の「話の主」はソコまで理解できただろうか。

で、つくづく思うのが「カーシェアリング」ならぬ「バイクシェアリング」というハナシ。
だいぶ前に、「レンタカー」ならぬ「レンタバイク」(チャリンコのレンタルじゃなくて、ちゃんとした「オートバイ」のレンタルサービスのコトね。)の事業者が現れたとニュースになったが、「8時間借りて2万円プラス保険料、破損の場合は実費」という条件を見ただけで萎えてしまった。
そんなワケで、「ソーシャル・シェアリング・サービス シェアモ」がオープンしたと聞き、早速サイトに訪れて「バイク」をキーワードに検索してみたのだが・・・

バイク雑誌」と「自転車」しか引っ掛からなかった。○| ̄|_

とはいえ、ケータイでシェアしたバイクに乗れる日が来ることも、まんざら遠いハナシではなさそうである。