ワタシ、タバコ吸いません

dubrock2008-07-22


先日訪れた、セルフサービスのガソリンスタンドでのコト。
「窓のほう、サービスで拭かせて頂いておりますが…」
語尾が疑問型なのか尻すぼみなのか定かでない、この『バイト言葉』についてどうこう言うつもりはない。
ただ、「人件費削減によるローコスト運営」が謳い文句の『セルフ』という運営形態において、「サービスで窓を拭く」とはどういう意図だろうか。

「特石法」という保護政策に守られて、「ガソリンだけ」売っていれば経営の安泰が約束された夢のような時代、ガソリン購入客への付加価値サービスとして元売が提唱したのがこの「窓拭きサービス」だった。
販売各社は競うように新たな付加価値サービスを打ち出し、灰皿清掃、膝付き接客、洗車サービスにスタンプカードと、働いているコッチですら「その分少しは値引きしたら?」と思うほどだった。
それが法律の廃止とともに崩壊。
元売はケロリとした顔で「ローコスト経営」を叫び、灰皿用芳香剤(ビーズコロン)廃止からタオルの洗濯方法まで「指導」を始め、窓拭きサービスナシの「セミセルフ」でも飽きたらず、ついには「従業員イラネエ」とばかりに「セルフSS」への切り替えを推進した。

しかしながらネックとなったのは、急激に圧縮されたマージンと、採算度外視にゴージャスな設備改装費。
たとえ人件費がゼロでも採算は販売量次第という杜撰な計画だった。
出て来ない人件費の言い逃れに打ち出した秘策は、「オイルや車検などの整備関連収益で、人件費を賄うのが理想型」という驚愕のプランだった。

「んな、『ガソリンスタンド』なのにガソリンの利益をアテにするな、て!」
「オノレでガソリン入れやがれ、の『セルフ』でオイル売れってか!?」

そんな現場の戸惑いの究極が、「窓拭きサービスへの回顧」なのだろうか。

もう20年も前のハナシを思い出す。
当時バイトしていた地元のガソリンスタンドに、常連として来ていた浅井医師。
こちらの、「(車内に)吸い殻などごさいませんか?」の問いに、毎回丁寧に答えてくれたフレーズが今日のタイトルだ。
まだ「禁煙」が叫ばれる前の時代。
それでも、「医師」として当然『非』喫煙者であると言いたかったのだろうか、それとも、常連なんだからいい加減に覚えろよという「あてつけ」だったのか。

こちらとしても、まあ決められたコトであるし、もし万が一同乗した誰かがタバコを吸うかもしれないワケでもあるので、聞かないワケにも行かない。
言外には、灰皿程度の少量のゴミなら引き取りますよ、という意味合いも込めての声掛けだった。

そしていつも変わらぬお決まりのフレーズ。
あれを、何度歯痒い気持ちで聞いたコトか。

まだオイルショックの記憶も新しく、「一見さんには(ガソリンを)売らない」という横暴を回避するべく、「スタンドマンにはとりあえずチップ」が慣習として残っていた、『古き良き時代』。w
あの頃、来る客来る客置いて行く500円玉を、ワケも分からずにただただ受け取っていたのは、時給たった600円のアルバイト高校生。

『モノはあるけど値段が高い』
なんてワケ分かんないオイルショックでは、誰をチップで買収すればイイんだろうか。
オイルマネー原油価格を押し上げ、結果オイルマネーを更に潤すなんて最悪のシナリオは、初めから循環参照エラーなのだが。

ところで、「セルフで窓拭きサービス」って、いったいどれくらいのヒトが望んでいるのだろう。