全国の壁

姪の全日本女子小学生ソフトボール大会出場、その後日談。
初戦を「不戦勝」で迎えた大会2日目、2回戦の相手は栃木県のチーム。

同じ『東北勢』として、なんとかなるんじゃね?w

なんて冗談を飛ばしていたが、果たして大丈夫なんだろうか。
「もしかしたら・・・」なんて保護者の皆様の淡い期待とともに、試合は開始されたのであった。

試合風景

1回の表、先攻は宮城県チーム。
相手の熱気に圧倒され、戸惑っているうちに3者見送りの三振に切って取られ、あっさり攻守交代。
まだこの段階では、「まあ最初はこんなもんでしょう」という空気であった。
そしてその裏、ついに悪夢は始まったのである。

先頭打者をフォアボールで出したのを皮切りに、2盗塁を許しあっさりノーアウト3塁のピンチ。
そして第2打者にもフォアボールを許し、さらに1盗されノーアウト2塁3塁。
いきなり大ピンチである。
続く3人目の打者に右中間を抜かれ、これがランニングホームランに。
あっという間に3点取られ呆然としながらも、「まだまだ、試合はここから」と気持ちを入れ直す余裕が、この時にはまだあったのであった。

ところが続く4番バッターをフォアボールで出し、また盗塁で掻き回されたあたりからパニックになって・・・

結局、大量17点を献上する1回の裏の猛攻が収まったのは、攻撃が開始されて30分を経過。
試合場に「もしかしたら(試合制限時間の)90分、このままじゃね?」という空気が流れ始め、栃木県チームが次々「控え選手」を代打に出してからのことだった。

「アウトが取れない」

その一言に尽きる。
通常「点を取られないようにするゲーム」なので、内野ゴロからホームに走りこむランナーが居れば、そちらから優先してアウトにする。
それがセオリーではある。
しかし、不慣れなタッチプレーからアウトが取れず、その間に1塁もセーフ。
そして1塁ランナーが2盗して3塁まで進む。
この繰り返しなのである。

こういった場合、「まず確実に1塁をアウトにして、コツコツ1アウトずつ取ろう」と考えるのが大人なのだが、これがコドモには通じない。
「ランナーを気にしないで」なんて言われても、気にせずには居られないのである。

しかし、なんでこんなに守備がグズグズ?
っていうか、本来センターのハズの姪がファーストに入っている。
これはどういうコトだろうか。

聞けば前日の練習の段階で、12人の選手団のうち3人が熱中症で倒れ病院に救急搬送。
当日の朝にも別の3人が体調不良を訴え、うち1人が病院へ。
前日熱中症で点滴を受けた2人が出場して、「ようやく9人揃ったレベル」だというのである。
これでは試合にならない。

試合前の宮城は雨が多く、気温も25℃前後。
それが会場入りしていきなり34℃超えの猛暑である。
「開会式に無事出られただけでも御の字」だったのである。

さらに追い討ちを掛けるのが「試合に不慣れであった」というコト。
なにせ対戦相手にも事欠き、「練習試合はお母さんがピッチャー」だったチームが、いきなり審判員3人を立てての正式試合。
そこに試合慣れした栃木チームに「足」で掻き回されては、もう頭が真っ白になってもおかしくはないのである。

そんなワケで、アンパイヤからの再三の忠告により、試合制限時間を20分残してのギブアップ。
と、同時に、泣き崩れる選手達。

泣き崩れる

まあそう泣くな。
「全国レベル」というものを体で実感しただけでも、イイ経験だったと思うよ。
そんなワケで、小学生最後となる涙、涙の全国大会、姪にとっては「良い想い出」になったのではないだろうか。

最後に、栃木県は「東北」やないでー!!