潮時

歯を食いしばり「何とか」勝ち進む伊調千春選手と、圧倒的な力量差で「難なく」決勝進出を決めた吉田沙保里選手。
両者のコントラストが対照的だったオリンピックレスリング女子日本代表の試合。
「こんどこそ金」と頑張った4年の集大成ではあるが、伊調選手には悪いがこの段階で予見出来た結果ではある。
ともかく、妹が金獲って、(銀獲ったにもかかわらず)「お姉ちゃんは?」という空気の中で4年という歳月を過ごした伊調千春選手にとって、それは今の段階ではとても「もう4年」とは言えないものだったのだろう。
彼女が現役引退を表明した。
「潮時」だろう。

と、「お姉ちゃんが辞めるなら」とすかさず後を追う天才肌の妹、馨選手。
時に「天真爛漫」とは、周囲の人間にとって苦痛であったりもする。

これで、天才肌の金メダリスト・伊調馨選手の存続は、「姉・千春次第」というコトになってしまった。
アマレスの振興と、「五輪三連覇」という偉業への挑戦は、「全てアナタ次第」なんてレスリング協会会長に説得されるのだろうか。
銀メダル獲っても報われない日々、である。

「潮時」という見地からすれば、伊調馨選手の引退は「些か早い」という意見が大半だろうが、個人的には「絶好のタイミング」だと思っている。
あと4年続けてまた金獲っても、「伊調馨」というレスリング選手としての値上がりは些少。
「金獲れなかった時」のリスクと、「4年」という、20代の女性にとってあまりに長い年月を考えれば、「ここで利益確定の売り」で何かいけないだろうか。
「伊調姉妹」として、妹の『金』でお姉ちゃんも稼がせてあげれば、それが本当の「恩返し」になると思うのだが、責任感の強い「お姉ちゃん」は妹の為に現役続行とかしちゃうのだろうか。

そしてそれを、涼しい顔で観戦しながらコメントを発するフィギュアの金メダリスト、シャック荒川静香さん。
しばらく見ない間に随分とシュっとした顔になって、このヒトも「荒川静香」というフィギュアスケート選手を、タナボタの『金』から高値で売り抜けた勝ち組だろう。

試合内容からすれば、吉田沙保里選手の現役続行に、何の異論もない。
しかしながら「4年」という歳月と、惨敗した鈴木桂治選手、五輪に出場すら出来なかった井上選手、野村選手などを思うと、今の段階からマスコミに乗せられて「ロンドンでも金」とかは、軽々しく言って欲しくはない。
(個人的には、25歳の「今」がタイミングだと思っているが。)

浜口選手は…
口角の上がった良い人相をしている。
性格の良さが顔に出ている。
お父さんを喜ばせようと、一生懸命頑張ってきた。
でもその「性格の良さ」は、残念ながら格闘技向きではない。
あとは「ロンドンで」と言わずに、「オリンピック」という呪いから解放してあげるのが親の責務だと思うのだが、どう転んでも「アニマルの娘」というブランドは現状から値下がりの懸念が無いので、親子でよく話し合って(良い意味で)好きにやって欲しい。

前回「金」獲ったのに、コメントがスベって総スカンをくった水泳の北島選手は、今回その反省から殊勝にも「泣き」の演技をして見せた。
結果はまずまずだったようだが、やっぱり記者会見のビッグマウスが鼻に付く。
このヒトくらい、金メダル獲ったのに嫌われるのも珍しい。
今回、満を持しての引退表明と相成ったが、着用した水着のスピード社同様「金獲った瞬間がストップ安」であるコトは間違いない。

稼ぐなら、急いだ方がイイぞ。
オレは応援しないけどね。w

『4年に一度』という大きな節目を持つアマチュア選手に対して、なかなか「潮時」の見極めが難しいのがプロ選手。
と、言っても「プロ」なんだから、「客からカネ取れるプレーが出来なくなったら辞めろよな」なんて言ってしまうと、今のプロ野球選手のほとんどを敵に回してしまいそうだから怖い。
でも、シーズン前の「春のキャンプ」から「ベテランは別メニューで調整」なんてのが「主力選手」だなんて、そんなのオカシイと思うのはワタシだけだろうか。

ともかく、「潮時」を遥かに過ぎたオリックスの清原選手が、誕生日を機に改めて今期限りの引退を表明したそうだ。
って、つい先日の一軍復帰会見でも、同じコトを言っていた気がするのはワタシだけだろうか。
前回がスベったからまた言ってみたのだろうか。
いやしかし、世間がスルーするのはそれが、さして驚くほどのコトではないから。
実際、40過ぎたロートル選手の引退話なんだから、一部のファンを除けば新聞に載せるほどのもんでもないぞ。

彼は念願叶ってようやく入ったジャイアンツを自由契約になる遥か前、30代半ばが「潮時」ではなかったかとつくづく思う。
肉体改造してタンニングして、小ヤクザみたいになってしまう前に、高値で売り抜けるべきではなかっただろうか。
仰木さんが何と言ったかは知らないが、長期欠場後に引退前提の一軍復帰って、起用する監督の神経を疑ってしまう。
プロ野球の一軍選手登録は、そんなに甘いものなのか」と。

ちなみに、ドラフトで「早稲田に行く」と公言しておきながら、陰でジャイアンツと手を握り、盟友清原を西武に島流しにしたばかりでなく、母校PLの後輩から「早稲田進学」の道も奪った悪人・桑田は、逆に最後の悪足掻きで大いに株を上げた。
のみならず、清原のバッティングピッチャーをチョコっとやって、今ではすっかり「いいひと」である。
人気低迷に喘ぐ日本プロ野球界が、その人気に肖ろうとする様を無想すると、「高値で売り抜ける能力」について『桑田-清原』の順位はずっとこのままなのだろう。

そんなワケで、仕事をしなければ「ニート」、すればしたで「フリーター」と呼ばれて苦労してきたアマチュア選手の皆さんが、4年に一度だけ注目されるスポーツの祭典なのであるから、勝ち取ったチャンスは是非高値で売り抜けて頂きたいものだと思う。
企業のCM契約料を思えば、競技団体の報奨金なんてゴミみたいなものなのだから。

あっと、出過ぎてどっかのQちゃんみたいにならないように。
そう言えば彼女、マラソン中継とかでも、使ってもらえないよなぁ。
ドコ行ったんだろ。w