勝ち組負け組

dubrock2008-09-16


六本木「勝ち組」の象徴とも言える、リーマンブラザーズ証券の本家本元、アメリカ法人破綻のニュースには、なんとも感慨深いものがある。
「○○証券」とは言っても一般に馴染みのある株屋さんとは違い、聞きかじった情報を持ち込んで客に売り買いを行わせ、手数料として小銭をはねるようなみみっちいシノギはしない、基本非上場会社の買収が専門の証券会社だ。
例の「ライブドア騒動」の時に、ホリエモン(これももう死語だなw)にカネを貸したコトで一躍有名になった、それまでは「六本木あたりで随分と羽振りがいいみたいだけど、コイツらナニしてカネ稼いでんだろ?」なヒトたちの居た会社のコトだ。

当時800億の融資から数ヶ月で500億近い利益を上げ、「濡れ手に粟」だ「担当者のボーナスはいくらになるんだ」と散々騒がれたが、結局マスコミを敵に回して「オマエらがカネ貸すからこんなコトになった」と叩かれ、ひゅるひゅると表舞台から消えて行った可哀相なヤツらである。
リーマンブラザーズに限らず、このテの「外資系金融」は「高収入」「勝ち組」の代名詞とされ、「SPA」や「flash」などの写真週刊誌でもよく特集されるが、内情は一握りの花形営業マンが「美味しいトコロ」を独占し、「その他大勢」は会社に寝泊まりして一日20時間仕事する格差社会の縮図、なんてなオチがお約束だ。

彼らの投棄行為については、「高度先進社会における経済活動の一つ」として、「非生産的だ」なんて聞きかじった批判をするつもりはない。
(原油の値段を吊り上げたのにはアタマに来たし、ホントに迷惑だったが、)
どころか、浮き世離れした金額のゼニで圧倒するM&A取引というものは、ワタシのような野良犬がキャパを超えたハイレバレッジのFX取引をするよりも、「断然安全だ」と思っていたりもする。
(ま、どちらも、「投資」と呼ぶには程遠いハイリスクなシノギであるコトに違いはないのだが。)

ただ、だ。

「上手く行ったらぼろ儲け」の裏にあるのは「下手を打ったら命取り」である。
実際アメリカの著名な投資家なんて、過去に何度となく無一文になっているし、今ある巨万の富だって「一時的」なものに過ぎず、いつまた無一文になるか分かったものじゃないのだ。
その「一時の栄華」を誇張して伝え、消費を煽るのがマスコミであり、また彼ら自身も、そうすることによって更なる投棄マネーを集めなければやっていけない。

そういう仕組みなのだ。

だからこそ、アメリカの金融当局も救済の為の公的資金注入に消極的だし、世論も冷ややかなのだろう。
実際、ボーナスが2千万だ年収が15億だと言っていたヤツらが、破綻したから救済して下さいと言われて、「はいそうですか」と済まされては溜まったものでない。
唯一の救済策は「破産」しかない。

とはいえ、彼らが貪った破格の報酬についてまで、破産の手が伸びるコトはない。
ババ抜きに負けた9兆円の不動産関連(不良)資産が、処分されるのみである。

ならば、

それならば、である。
つまり「やったもん勝ち」なのか。

ライブドアのホリエ氏のように、元居た会社から背任で訴えられ、損害賠償請求されるようなコトが無ければ、「やったもん勝ち」だろう。
(まあ、「ひろゆき氏」のように、損害賠償が確定しても支払う意思のないツワモノも世の中には居るが、)

しかしながら、このテの「キリギリス」で「蓄え」まで考えているヒトに、今までお目にかかった試しは無い。
稼ぎが無くなった瞬間に支払いに行き詰まり、私生活まで破綻する。

そんなワケで、六本木のスタバでチャラ〜っとケータイなんかいじってた彼らが、また破格の高収入で再雇用される道はあるのだろうか、と、そんなコトを思った、リーマンの破綻報道なのであった。