トヨタ・ショック

dubrock2008-11-08


日本を代表する企業である「トヨタ」が、今期の業績予想を1兆円の下方修正にしたことで、新聞記事では一面トップ、株価は一時ストップ安の盛り上がりを見せている。
リーマンショック以降の北米市場での業績悪化」がその主たる要因とされているが、ホントにそうなのだろうか。
「1兆円儲ける企業」、「世界一稼ぐ企業」なんてチヤホヤされていた会社が、そんなに簡単に収益構造を崩壊させるものなのだろうか。
そんなに早く、最終決算に影響が出るものなのだろうか。

6日に発表した中間連結決算によれば、売上で6%減、利益で54%減の5800億円だったという。
これくらいは、まあ許容の範囲内だ。
これに対して下半期の業績予想で、たったの180億円の利益しか、積み増し出来ないというのである。
それも、10月たった1ヶ月営業した今の段階で。

いくら北米市場を収益基盤にしていたとはいえ、それはあまりに出来過ぎたハナシではないだろうか。

結局のトコロ、2兆円稼ぐ企業だなんだ言っても、商品の末端在庫は増える一方、「いつかは」とその供給過剰を是正する施策は、既定路線だったのではないだろうか。
リーマンショック」、「世間的株安」、「アメリカ経済の失速」、天下のトヨタが「実はウチも…」と切り出すには、あまりに良過ぎるタイミング。
こんなコトでもなければ、契約社員の途中解雇も、派遣契約の途中解約も出来たもんではない。
「2兆円儲けて首切った」なんてコトになれば、アサピーの格好の餌食になるのである。

それくらい、絶妙なタイミングでの業績悪化公表と、大規模リストラの発表。

聞けば聞くほどウソくさい。

そう感じるのは、ワタシだけだろうか。

ちなみに、今回のリストラで職を失った自動車関連企業の派遣工にスポットをあて、「これが小泉改革が残した格差社会だ」と煽るのがマスコミのデフォルトのようだが、それってちょっと違うのではないだろうか。
終身雇用で不景気でも職場が確保され、「お手手つないで護送船団」方式に保護主義政策を貫き、内需の拡大にのみ邁進したあのやり方は、もう今の時代には通用しないし、次のオバマ政権下ではその風当たりが尚更強くなるのである。

構造改革が無ければ、今の繁栄も無かった。

そう考えるのが、自然なのではないだろうか。

だいたい、条件さえ言わなければ、安定した正社員雇用の先なんて、いくらでもあるのである。
それを、賃金はおろか「寮完備」とテメエのヤサまで用意させておいて、「一方的に解雇された」は無いだろう。
「そういうコトも有り得るから、就労先での寝床は用意しておきます」が正しい解釈だと思うのだ。

寮完備でソコソコの日当が出ているのだから、残しておくのがフツーなのである。
それを全部使っちまうから、キリギリスになってしまうのである。
それを「格差の底辺」と言うのは、ちょっと違うと思う。

とはいえ、最近ではこういった民衆の側に立つのがトレンドというから、あながち批判ばかりしても居られない。
「トレンドに乗る」が今年のメインテーマなのである。

そんなワケで、「ガチガチの出来レース」なのにさも今起こったニュース、といった報道に、違和感アリアリの「トヨタショック」だった。

ちなみに、オバマ政権下で牛肉や自動車の輸入圧力が強まったとしても、「そんな低品質誰も買わねえ」と嘯く書き込みをネットに見掛けたが、「安ければ」というニーズは実感として殊の外強い。
ソコんとこ誤解しているヒトって、結構多いんじゃないだろうか。