ビッグ3

dubrock2008-12-05

GM、フォードにクライスラー
言わずと知れた「アメリカ大手自動車3社」。
重厚長大、「強いアメリカ」の象徴。
その「ビッグ3」が、アメリカ政府に緊急融資を申し入れて、金融安定化法の7000億ドルから出すの出さないのと話題になっている。

このまま行くと、年明け早々にも手持ち資金が「適正水準」を割り込むというが、「豊満経営のツケを税金に求めるな」という庶民感情は洋の東西を問わないらしい。
自動車労組を支持母体とする、次期政権の民主党が融資に前向きで、現政権である共和党が消極的というか否定的。
政権交代は来年で、融資が必要なのは年末に掛けて、というのが面白い。
共和党にしてみれば、仮に融資せずに破綻してしまったとしても、その後始末はオバマに任せてしまって、批判だけしていればイイというコトだろうか。

彼らがこんなに資金繰りに切迫した理由、それは好景気にかまけて本業を疎かにしていた、とは言わないが、何も生み出さない金融取引にばかりご執心だったからではないか。
例のサブプライム関連商品に、本業のカネを注ぎ込んでいたからではないだろうか。

ま、そういうコトであれば、「サブプライム対策」というのも的外れなハナシではないが、「金融安定化法で車屋公的資金」はやっぱり「こじつけ」だろう。
ただ、「破産」というコトになれば、ソコに直接雇用されている人員以上に、取引している日本企業まで、それはそれで影響が大きい。

折しも日本では、9月に更新したばっかりの、たった6ヶ月間の有期雇用契約が、わずか2ヶ月で反故にされたと訴訟沙汰になっている。
これも実態としては「ほぼ終身雇用」、「正社員並み、若しくはそれ以上の責任と役割」であって、こんな時だけ「オマエ契約社員だから」ではヒドいハナシ。
「せめて来年3月までの雇用継続」とか言わせてる前に、労基局で入らなきゃダメだ。
「実際は正社員並みの(責任と役割の)派遣工」ってのと一緒に、この際是正すべきじゃないだろうか。

と、言ったトコロで、時の宰相が「財界に雇用創出を打診して」なんて言ってる先から経団連トップ企業キャノンがリストラ発表では、ハナシにならないか。
これくらい見事にメンツを潰されるってのも珍しい。

結局のトコロ、資本主義経済ってのは「消費してナンボ」であって、「エコ」とか「CO2排出削減」とか言うなら最初っから企業活動なんてしなければイイ。
加えて、「成り上がり」とか「アメリカンドリーム」とかが否定されて、総理大臣も一流企業の社長も世襲、となれば、底辺は底辺なりに「年収200万なりの幸せ」ってのを探すようになるワケで、それって結婚もしなければ車にも乗らない、海外旅行なんて考えもしない「幸せ」なワケですよ。

もともと、田中角栄の提唱した「所得倍増計画」のキモってのはソコにあるワケで、それに気付いていようといまいと国民はともかくよく踊り、よく働き、よく使い、よく蓄えた。
国もそれに合わせて国債を乱発して道路を作った。
だから、小泉政権下での「構造改革路線」というのは、それをやると決めた時点でこうなるのも分かっていたワケで、やっぱり今更「コイズミのクソヤロウが」って言ってる方がオカシイのであって、世界経済がどうづあろうと日本国内の経営環境ってのはこうなっていたハズ。

と、考えると、この「世界同時株安」ってのは、「アソーに都合良くしちまった」のであって、既定路線で日本が壊れるのが怖いなら、総理大臣になどなってはイケナイってコトなんだな。
すると、この麻生財閥の御曹司は「最も総理に向かない人間」というコトになる。

ま、歳出は「特別枠」で事実上増えるし、社会保障費の抑制も断念。
タクシーの規制緩和も再度台数規制の方向みたいだし、またいずれ「規制緩和」とか「構造改革」とかが世の中に求められるようになるまで、規制と財政出動の政治が続くのだろう。

そんな流れを悲嘆して、コイズミは政界引退を決めた?

いやいやそもそもの原因というのは、任期満了を理由に自ら自民党総裁の椅子を明け渡したコト。
まだ仕事が残っているのに、だ。


そんなワケで、「消費し続けるモデル」の象徴たる「ビッグ3」のSOS。
救済や否や、非常に興味深いトコロではあるのだが、再建策のメインが「大排気量ガソリン車並み加速のハイブリッド車」なんて言ってる時点で、破産法適用でいいんじゃなかと思う。
これだけズレちゃうと、ちょっと難しいと思うぞ。