へむんつん

dubrock2009-03-07

宮城県南部あたりの言い回しなんだろう。
仙台あたりでは「むんつん」と言われたりもする。

例えばガソリンスタンドで、若いオニイチャンが精一杯の営業スマイルで出迎えたとする。
いらっしゃいませ、こんにちは!お使いのガソリンは、ハイオクですか、レギュラーですか?
この問い掛けに、返事をするワケでなく、愛想笑いするワケでなく、ただ黙って店員の顔を眺めるオッサンが、「へむんつん」である。

初めて出くわすと、はっきり言ってショックを受ける。
何か変なコトを言っただろうか、それとも、当然知っているべきはずの、会社のお偉いさんだったろうか、と。

しかし、接客が不愉快だったワケではない。
ただ、「慣れていないだけ」なのだ。
ナニに慣れていないかというと、つまり万人に通用するいわゆるマニュアル対応に。

例えば喫茶店で、マスターがあるお客と話をしていたとする。
そこにもう一人、お客同士では面識のないお客が来たとして、普通なら、見知らぬお客とマスター、3人で談笑しようものなのだが、それが出来ない。
それが「へむんつん」。

つまりは「イナカモノ」なのである。

たまたまこのヒトが、無愛想だというワケではない。
慣れれば、慣れてしまえば、社交辞令ばかりの都会のヒトよりも、よっぽど好意的で、義理堅いのである。
勘所は、なるべく早い段階で、対象が「へむんつん」であるコトを察知し、そして「マニュアル対応」の真逆を行くコト。

挨拶も会釈もなしに、いきなり「おっ?今日はドコ行くの?」である。

そんなコト言って、大丈夫だろうか。
もしかしたら怒られるんじゃないだろうか。
最初は不安で、結構「踏ん切り」が必要なのだが、案ずるより生むが易し、あの仏頂面がみるみる綻んで、満面の笑みになるのである。

この、愛すべきへむんつんたち。
彼らに違和感なく接することが出来るようになったのは、自分が歳を取ったからだろうか。