地下銀行
海外旅行から帰国した空港で、使い残した渡航先通貨を日本円に換金する際のレートって、気にしているヒトはどれくらい居るだろうか。
日本旅行の「キャッシュパスポート」や外貨預金口座の活用など、出国の時はあれほどレートと手数料を気にしていたのに、
ペソなんか持ってても仕方ない
なんつって、紙屑同然に扱ってはいないだろうか。
「ペソ」だって立派な「おカネ」である。
「現地通貨は換金したら使い切って下さい!」
ツアー添乗員がしつこく繰り返すのもこの為だ。
実際、帰国後の換金は結構ボられているのである。
神奈川では、1年で1億近くのカネを不正送金したフィリピン人男性が捕まったらしい。
一億もどうやって稼いだんだ??
なんて驚くのはシロウト。
合法違法問わず日本国内に居住するフィリピン人の、本国への不正送金を取り纏めて手数料をハネていたのである。
だから逮捕の容疑も「銀行法違反(無許可営業)」。
「地下銀行」という新聞の見出しもソコから来るらしい。
来るらしいが、・・・
実際は、「地下銀行」って言うほどアングラなカンジはなく、場末のスナックにゴマンと居るフィリピーナ、その周りにいくらでも居る「身近な存在」、そういう認識の方が正しいと思われる。
婚姻により合法的に日本に居住しているならば、本国の家族への送金は銀行振込が一番確実な気がするが、それは「送れば届くのが当たり前」の日本人の考え。
基本彼女たちは現金しか信用しないし、銀行に送られても現地の家族が不便がる。
(不法滞在や犯罪による収益ならそもそも銀行が使えない。)
で、小包に現金を紛れ込ませるらしいのだが、コレはルール違反。
向こうの税関で見つかって、見付けた職員にポケットに入れられても、何の文句も言えないのである。
(そもそも「入れちゃイケナイ」のだから、被害が届けられない。)
(ホントかどうかは知らないが、)新一万円札に付いた「ホログラム」がレントゲンに写る、と彼女たちは言っている。
でも、(ホログラムの付いていない)5千円や千円札では、向こうで換金出来ないからダメ。
(街の両替商が受け付けてくれないらしい。)
それで、チョコレートの銀紙に巻いたりするのだが、・・・
「上手くいくかはその時次第」
ぐらいの成功率らしい。
そこで「運び屋」の登場となる。
なるのだが、ソコは「騙してナンボ」のアングラな世界。
二人だけの時に現金の受け渡しをして、後から「預かってないよ」なんて言わせないように、間にさらに世話役となるブローカーを挟んで(コイツにも手数料が発生w)の送金依頼と相成るのだ。
(実際、現地の公でない両替商で日本人が換金しようとすると、現地語でなんだかんだ言っては、1回でマトモに寄越そうとはしないらしい。w)
そんなワケで、何故一回の銀行送金額が制限されているのか、一回の渡航で持ち込める通貨に上限があるのか、小包で紙幣を送ってはいけないのか、なーんて知る由もないし、知ったトコロでドコ吹く風、の不正送金のハナシ。
今日も日本国内にあるハズ(そう日本政府が認識している)の一万円札が、マニラでドルに替えられているのである。