ウィルコム「的」な?

dubrock2009-09-21

携帯依存症の知人が、見知らぬ番号から電話を寄越した。
聞けば、料金の滞納で「命の次」に大事なケータイがストップ。
しばらく払える見込みもないので、
ウィルコム的なヤツ」
を「繋ぎ」に契約したそうだ。

あとは、まとまったカネが入ればドコモが再開する。

そしたら(ウィルコムは)・・・

なんだか最初っから、マトモに払う気がないらしい。
関係者が聞いたら暫く立ち直れないぐらいにヘコみそうなハナシだが、・・・

「三流のケータイ会社」

ぐらいにしか認識されていないこの会社への、世間の風当たりってなこんなもんだろう。

「今後、端末の分割払い金を滞納したユーザーについては、民間の信用調査会社(ブラックリスト)への登録を行う」
なんて業界のアナウンスも、この手のアウトローには聞こえないのである。
(つか、債務整理でとっくに殿堂入りしているし。w)

安物買いの殿堂・ドンキホーテでは、連日入り口で「100円パソコン」が販売されている。
流行りの小型ノートパソコン(ネットブック)、それも「新品」が「100円」なのに、安物買い専門のバーゲンハンターどもが誰一人見向きもしない。

それもそのはず、この「100円パソコン」は「2年間の通信契約が必須」の「ヒモ付き」であり、しかもその通信契約は「クレジットカード決済が前提」の用意周到ぶりなのである。

「それじゃあバックれらんねぇじゃん!?」

なんて声が聞こえて来そうだが、
「ヒモ付きの100円ならパソコンなんて要らない」
とは、後発組のPHS事業者は苦戦続きのようである。

そんな苦戦続きのウィルコムが、ついに私的整理に入った。
「私的整理・民事再生・破産宣告と一般に言われる『破産』には3つの種類があって、・・・」
とは債権回収のマニュアル本によくあるくだりだが、今回は「第三者機関」を間に入れての民事再生というコトで、1000億円もの銀行債務の返済期限延長を求めるという。

「求める」つったって「ダメ」なら「返せない(返済出来ない)」って言うだけだから、事実上の経営破綻宣言。
でも普通の「民事再生」みたく
「借金の99%を放棄してくれたら、残りの1%を20年掛けて返していきます」
なんてハナシじゃないので、
「まあ、マシなほう」
と言うことが出来るだろう。
(というか、そういう「民事再生」を回避する(銀行にしてみれば貸し倒れが出る)為に、私的整理には応じる旨の合意が三菱東京UFJとの間でまとまっていたのだろうと思うけれども。)

結局あれだ、
「契約者が端末代金マトモに払わないんだから、ウチもいいでしょ?」
っていうそういうハナシなんだろう。
(ちなみにドンキの前で「100円パソコン」やってたのは、また別の会社。)

個人の債務整理を進める時に、
「給料が20万で、支払いが家賃6万、光熱費が全部で4万、食費に4万、ガソリン代が2万で、・・・あと、ケータイが毎月2万!(だから払えるお金はありません。)」
みたいなやり取りはよくあるハナシで、この
月2万のケータイ代
が弁護士が入る破産手続きでも当たり前のように認められる時代。
携帯事業者は契約さえ取っちまえば「毎月2万の固定収入」が見込めるワケで、

「他社並み」の契約数さえ確保できれば、(事業として成立する)

というのがこの手「後発PHS事業者」の決まり文句なんだろうけど、・・・

ビジネスモデルを認定する段階で、
「どうやったらカネが回るか」
ではなくて、
「どうやって客を取るか」
を吟味する必要があったというコトなんだろうな。

「ヨソと同じように端末タダで配ります」
とか、
「ヨソ並みの通信料定額制します」
とかじゃ、わざわざ「三流事業者」に乗り換えないってコトよ。

そんなワケで、話題のモラトリアムを真っ先にやってのけた、「ウィルコム」。
通信業界の「共産党」になれるかどうかは、誰も知らない。