元暴走族

新聞をパラパラめくっていて、ある書籍の広告に目が止まった。
それが、これだ。

元暴走族

タイトルから推察するに、「著者」とされている「マンダリンオリエンタル東京・初代総料理長」の山本さんは、「暴走族」だったらしい。

この場合、「元暴走族」がアメリカ大統領晩餐会を仕切るまでになったのが「スゴい」のだろうか。
ただ真面目な料理人が「大統領シェフ」になったとしても、「スゴくない」のだろうか。
不良少年が更生してココまでになったのが、「スゴい」のだろうか。

ナニをもって「スゴい」のかイマイチ分からないが、かといって本を読む気にもならない。

ところでココで言う「暴走族」とは、どんな定義なんだろうか。

知り合いのIさんは、ワタシより5つほど年上で、「元暴走族」だという。
とは言っても、昭和40年代前半生まれの世代というのは「校内暴力」全盛の時代であって、Iさんの出身地である千葉県北部の高校では、

「ついに校舎の廊下を、バイクが走った」

なんてハナシがニュースになっていた時代。
この時代の高校生がチョコっとバイクに乗って、喫茶店でタバコを吸っていたからと言って、果たして彼が世間で言う「元暴走族」でいいのだろうか。
(彼らのおかげで僕ら「団塊ジュニア」は「3無い運動」。バイクとは無縁のツマらねえ高校時代だった。)
ちなみに彼は、今「ソコソコの会社」で支店長をしている。

後輩のOくんは「元暴走族」。
先輩に夜な夜な車で連れ出され、人様の車庫に停まっているバイクを盗み、マフラーをぶった切って一晩中乗り回しては、「ガス欠になった」と言って乗り捨てる。
そんな毎日を過ごしていた。
もちろん共同危険行為で検挙歴もある。

これだろうか。

世代は移ってさらに後輩のHは「元暴走族」。
とは言っても乗るのは自分のバイク。
集まった大集団の一員として暴走行為を繰り返し、官憲から写真撮影もされたが覆面をしていたので検挙を逃れ、現在に至っている。

「元暴走族」を肩書きにする芸能人は多い。

むかしはヤンチャしてましたね、ハハハハハー

なんて軽く話しているが、ただ爆音立てて走るだけでもどんだけ迷惑か、分かっているのだろうか。
(ましてや大事にしていたバイクで遊ばれたなら、である。)

で、だ。

過去の過ちについてどれほどの償いをしたかは知らないが、

今こうして真面目に働くことが、過去への最大の贖罪だと思っている

なーんてフザケたコト言ってるヤツらを、チヤホヤする風潮ってな如何なもんだろうか。

「元暴走族」なんてのは、ヤクザにスカウトされて六本木のクラブあたりで雇われ店長してるくらいがちょうどイイ。
種子島出身の元暴走族アイドル」なんて要らないのである。

そんなワケで、「元暴走族」が肩書きの一つになる昨今、「暴走族やってた」ってのはそんなにエラいのかと改めて問いたい、今日この頃なのである。

「機動隊に火炎瓶投げてた」ってのと同じ?
どっちも冗談じゃねえよ。w