ホンダのバイクを

dubrock2009-10-17

販売不振にあえぐ2輪業界(二輪の国内販売台数は82年の328万台をピークに減り続け、08年は52万台)は、「販売アップの為に普通免許(四輪)で125ccまで乗れるよう法改正を」と訴えていく方針らしいが、ソレって問題の解決になるのだろうか。

知り合いのSさんは65歳で、晴れの日の移動手段はもっぱら50ccスクーターである。
そのスクーター(ホンダ・ディオ)は息子がむかし乗っていたもので、乗らなくなって放置されているのを譲り受けたものだ。
それから1周1万キロのオドメーターが「3周りした(本人談)」というコトなので、まあ誤差があるにせよ2、3万キロは走行したことになる。
その間、タイヤの交換も何度か行い、駆動ベルトも切れて交換。
先日はマフラーが走行中に落ちて新品に換装した。
でも外観はボロボロである。
シートはもちろんやぶれてカバーがかけられており、スピードメーターまわりの部品もガムテープで止まっている。

壊れるたびに「そろそろ新しいのを、・・・」と口にするが、50ccスクーターの新車価格を見て諦める。
その繰り返しである。

中古車は、たった50ccのスクーターが7、8万もする割に、外観が自分のとたいして変わらない。
そりゃまあ「ガムテープ」とかは貼っていないけえども、他人の手垢がついたコトには変わりないのだ。

それよりも、隣りに展示されている「リード90」が、たいして値段の変わらないことのほうが気になってしまう。
街で颯爽と追い越していく「ピンクのナンバーのスズキ(たぶん「アドレスV」のことだろう)」も魅力的だ。

でも、免許がない。

「AT限定普通二輪」なんて制度もあるが、それとて「最短」でも費用は10数万円。
65歳のジジイがマトモに取れるハズもなく、「取ったら取ったでバイク買うカネが無くなってしまう。(本人談)」というコトなので、もし制度改正の暁には「朗報」となるのであろうか。
(と、言ってもSさんは中古しか買わないだろうけどね。w)

世の中にこういう境遇のヒトはどれくらい居るだろう。

おそらく「乗り換え(買い替え)」の需要なんてごく僅か。
「次回代替の時に検討します」ってのが関の山で、仮に「それなら」って新規に買ったトコロで、車庫に置いておけば近所のガキにイタズラされ、出掛けた先では駐禁のステッカーを貼られ、スーパーの駐輪場からは「バイクお断り」と締め出される。
そんなトコロなのではないだろうか。



ホンダは、中高年をターゲットにした空冷1100ccの「CB1100」を東京モーターショーに出品。
市販も予定しているという。

定年を迎えたり、子育てが一段落したりしてお金や時間に余裕が生まれた人に、「リターンライダー」になってもらおうとの狙い
というコトらしいが、コレもどんなもんだろうか。

業界は国内各社「総コケ」の状況にあって、「ハーレーデイビットソン一人勝ち」らしい。
あんなバカ高くて、クソ重たいのに乗りたいとも思わない(つか、「買えない」だろうって?w)が、アレが売れてる理由って「懐古趣味」だけではないハズだ。
免許制度の改正によって、養成所で高いカネ払ってシゴかれるコトも、免許センターのオッサンにバカを見る目で溜息をつかれることも、女性にあっては「女性であること」を否定されるようなこともなく、「憧れのハーレー」に乗ることができるのである。
これは潜在需要だ。

対して、そこまでのブランドイメージの無い国内メーカーがすべきことと言ったら、違うだろう。
底辺を広げることだ。

つまり有り体に言えば、

高いんだよ!(# ゜Д゜)

ただでさえ250ccを超えれば「車検」なんて、サンデーライダーにはほとんど無用の足かせがあると言うのに、その上車両本体価格が高ければ、「そこを押してもバイクに乗る意味は何か」と問われて、マトモに答えられるヒトなど少なかろう。
「風を感じたい」なんてのはバイクに乗らないヒトの妄想であって、夏はクソ暑く、かといって冬はバカみたいに寒く、雨が降れば濡れ、事故を起こせば怪我で済めばいいほう。
そんな原始的な乗り物に大金払って乗りたいなんて、「それドコのドMのハナシ?」なのである。
(通勤の渋滞対策と燃料費節減?それで買えても、250ccまでだろうなぁ。)

バイク屋の店頭には軒並み100万円を超える「新型車」が並び、中古であっても50万円を超えるものがザラ。
そりゃ排ガス対策などいろいろあるのかも知れないけれど、

「マーチぐらいが買えそうな値段でコレかよ!?」

というのは、誰もが思うコトなのではないだろうか。

「20万、30万の中古車が主流」というのが適正であって、「それだと20年前のポンコツになっちゃいますねぇー」というのでは、そこらの大学生すら乗れないではないか。
そう思うのである。

それでいて、「街のバイク屋さん」は往々にして対応が悪い。
店頭のバイクを眺めれば店の奥から睨みつけ、触ろうものなら怒鳴り出す。
かといって、低姿勢に話し掛けても常連とのハナシに夢中で返事もない。

こんなコピペがある。

ホンダのバイクを
ヤマハに持ち込む:まぁ、ホンダも直せなくはないけどね
スズキに持ち込む:ツマラン、どこかに細工してやろうか・・
カワサキに持ち込む:出てけゴルァァァァァァァァァァァ!!

ヤマハのバイクを
ホンダに持ち込む:おぅ、ヤマハさんのバイクか
スズキに持ち込む:打倒ホンダの僚友だ、バッチリ直してやるぜ
カワサキに持ち込む:けっ、優等生バイクか

スズキのバイクを
ホンダに持ち込む:けっこう癖のある作りしてんだよね
ヤマハに持ち込む:スズキさんか・・部品取り寄せとか大丈夫かな
カワサキに持ち込む:スズキか、最近小奇麗にまとまっちまいやがって・・

カワサキのバイクを
ホンダに持ち込む:カワサキか・・
ヤマハに持ち込む:カワサキか・・
スズキに持ち込む:カワサキか・・
カワサキに持ち込む:カワサキか・・

ユーザーがメーカーと接するのは、とりもなおさず「正規取扱店」である。
ゴーンさんが虫の息だった日産にやったように、「まずは正規販売ディーラーの再構築」。

そうでもしないと、「業界の再興」なんて有り得ないと思うのだが。