見たくないねぇ

dubrock2009-11-19

「末期がん」の宣告を受けたオヤジが、40日の入院生活を経て帰宅して、丸1週間になった。
容体は、今のところ小康状態というか、退院直後をピークになだらかな下降曲線を辿っているというか、回復の見込みのない終末医療なので、「大崩れ」さえしなければ平穏なものだろう。

点養を続けると水分が腹水に溜まってしまうということで、週明けから養分点滴が「無し」になった。
あの煩わしさから解放されるというのは、それはそれで本人にとっては「喜ばしいこと」なんだろうけれども、「糖」はどこから補給するんだ?

「果物のジュース(絞り汁)などで水分と糖分を補給してください。」

というのが訪問医の指示と言うが、・・・。

退院にあたって、あの頼りない担当医殿はもちろん交代になって、在宅の、訪問看護(「介護」ではなく「看護」)専門というわけではないが、そういった「在宅ケア」を行っている医療機関の担当医が「往診」に来てくれている。
(とは言っても「根っこ」は同じ医療法人なのだが(w)、「引き継ぎ」などの面でかえってそれは「好都合」でもあった。)

今年の春まで千葉大に居たという、外科手術から「治す」ということに主眼を置いた「前の担当医殿」に対して、こちらは「看取り専門」というか、終末期医療のスペシャリスト。
オヤジの「胃がん」については治る見込みのないものであるから、能動的な食事などしなければ、多少の水分・流動物の摂取で「大崩れ(つまり「大量下血」のことか)」はしないだろうとのこと。
(というか、多少の出血は「余命」にはあまり影響しないということ、か?)

なので(点養の代わりに)、

(本人の)「好きなもの」を、「好きなもの」といっても、「好きな果物」の絞り汁くらいですが(このへんが難しい)、を、飲ませてやって下さい。

というのが、「看取りのスペシャリスト」の方針だったのである。

そして彼ら「終末期医療のスペシャリスト」の目指すところというのは、どうやら「家で迎える最期」あたりにあるらしく、いや、医療行為を放棄して徒に患者を死に至らしめる、というわけではないが、あまり「痛み」とか「苦しみ」を感じさせることなく、「自然な死」を迎えさせようとするものなんだな。

オヤジはそんな、「贅沢」な最期を!
(人間、言いたいことは言ってみるもんだ!)

なのだが、そうは問屋が卸さない。
オヤジの場合で言えば、

「明らかに『血』と分かる大量の下血」、
「吐血」(口から出る場合ね。)、
それに、持病である「心筋梗塞」、「心不全」の類い、

などがあれば否が応にも「救急搬送」となるわけで、救急救命措置を断りそれが「最期」となったとしても、「自宅で迎える理想的な死」からは程遠いものとなるのである。
(ほとんどの人がその場では一命を取り留め、後に病院で亡くなっているのではないだろうか。)

そんな、本人の意に反する死に方って、果たしてどうよ!?

というのが、まあ過去に行われた「家族会議」の議題にもなったのだが、とはいえ、目の前で苦しんでいる父親を前に、(いくら本人が「そうしてくれ」と頼んだとしても、)「事切れるまで見守ってから、119番」なんて出来る由もなく、事ここに至ってもオヤジの死に方は「神のみぞ知る」領域なのである。
(この「家で死ねない」というハナシは、「現代の医療が抱える問題」として、ちょうど議論されているところでもある。)

あとは、

「朝、気が付いたら、眠るように安らかに」

というのが「理想型」として考えられるが、そんなことになったら隣室で24時間介助待機している母親の心に傷を残す。
(というか「トラウマ」だよなぁ。「あの時様子を見に行っとけば良かった」なんてさ。)

そんなワケで、先日ベッドの上で「予期せぬ下血」をしてしまい、「紙おむつ」の装着を画策されているオヤジ。
昨日はベッドサイドに、「簡易トイレ」が届いたらしい。

「してしまった」ら始末する方も大変だろうが、厳格なオヤジの「おしめ姿」なんて、コチラも見たくはない。
意識のあるうちは「這ってでも」簡易トイレを使って貰って、「紙おむつ」だけは団結固辞してほしい、今日この頃なのである。


ちなみに蛇足であるが、「簡易トイレ」はホームセンターで4000円くらい、「介護用品専門ショップ」では2万円から5万円くらいが主力。
でも、「介護保険」が適用になって、70を過ぎたオヤジが「介護専門ショップ」で買うと、自己負担は「1割」となる。

「じゃあ、4000円のヤツが、400円で買えるのね!」

とはならずに、

「3万円のヤツを、自己負担3000円で、・・・(それでも1000円安いでしょ。つか、大の大人に便器運ばせて、「ハイ、400円」なんて、ガキのお駄賃じゃあるまいし。(「残り」が保険から出ているとしても、ね。))」

というのが「世の常」。

いや、確かにイイんだよ、4000円のちゃっちいのに比べれば、「しっかり」しているし、臭わないし、暖房便座に「ウォシュレット付き」なんてのまであるし。
でもねぇ。
果たして必要なんだろうか。
「肘掛け、背もたれ付き」の「簡易」トイレ。

こういうのが押し上げる「介護保険支出」について考えてしまった、「介護用品カタログ」なのでした。