埋没する
名護市長に移設反対派の稲嶺氏が当選したということで、米軍普天間飛行場の移設問題報道が白熱している。
とはいえ、移設容認派だった現職の島袋氏との得票差はごく僅か、つまり、「住民の約半数は移設に容認」なワケで、それも当初移設に反対を表明していた民主党が政権を握ったからのこと。
「これが民意だ。」
と鼻息を荒くするマスコミの論調には、ちと無理があるのである。
そもそも先の衆院選の段階で、民主党議員のどれほどが「普天間」について考えていただろうか。
それは「ダム」でも同じことで、結局のところ「自民党との対立軸を鮮明に打ち出す為」に「普天間は県外移設」、「ダム建設は中止」を打ち出していたに過ぎないと考える。
「日米安保と国防」なんてものまで真面目に考えていたヒトなんて、居なかったのではないだろうか。
だから、政権獲得後のこの問題に対する扱いも、正直「どうでも良かった」ハズ。
「日米安保」や「同盟関係」にキズが付くようなら、反故にしてもイイくらいの政権公約だったと思うのである。
ところが、そうはさせられないのが「社民党」。
なにせ「日米安保」と「基地問題」をどうでもよくしてしまっては、その存在意義すら無くなってしまうのである。
これは、閣僚のポストと「連立与党」という看板欲しさに自民に迎合し、結果埋没してしまった「公明党」を見れば歴然だ。
社民党というのも面白い党で、「安保・米軍基地反対」というスタンスくらいしか確たる主張が無いというのに、党首である福島氏がその問題に一番疎い。
先の「北朝鮮ミサイル発射騒動」では、近所のオバチャンでも言わないような妄言を、国会やカメラの前でヒステリックに繰り返したのである。
正直福島さんからすれば、普天間の移設、いや、飛行場の返還自体が「どうでも良かった」ハズだ。
「どうでも良くない」のは社民党の「その他」の皆さん。
そりゃあ福島さんは知名度「だけ」で次の選挙にも受かるかも知れないが、オレたちはどうなるんだよ!?
そんな声が聞こえて来そうなのである。
そんな動きに一番親和性が高いのが、「安保闘争で機動隊に火炎瓶投げてたヤツら」を頂点に崇める「自称ジャーナリスト」の皆さん。
「なんとな〜く普天間移設」に動きかけている民主党を、やれ公約違反だ、やれ民意無視だと牽制するのであった。
アメリカ、米軍側にも問題はある。
陸・海・空、三軍の連携があまりに悪く、中でもエリート意識の無駄に高い空軍と、三軍共通して見下される「海兵隊」。
ヤツらと基地共用なんか出来るかよ!?
は有事になれば尚更顕著になって、そういった「明確に予見される問題」を「軍」が見過ごすワケには行かないし、とはいえコチラから見れば「同じ米軍」なのに、なんでわざわざ別々の施設を用意しなくちゃいけないんだ、となるのである。
(そして、そんな期待を裏切らずに「児童をレイプ」してしまうバカ海兵が居るから始末が悪い。)
じゃあいっそ、米軍に出て行ってもらえば?
となるのだが、あそこは終戦直前の地上戦で占領された島。
完全降伏のタイミングが微妙、とか諸説あったとしても、北方四島や竹島とはワケが違うのである。
「密約」だろうが「正式な合意事項」があろうが、
「カタチだけでも返してくれただけマシ」
なのが「沖縄」なのである。
米軍基地と、フェンス一枚隔てて小学校がある。
それが、「沖縄」なのである。
だいたい、これを「危険」と言うのであれば、フェンス一枚隔てて住宅密集地に幹線の国道16号が走る「横田」の方が問題がある。
そもそも米軍施設が次々返還されたのは、昭和も50年代になってから。
そりゃ、平成生まれの「ゆとり」は知らないかも知れないが、「戦後」はついこの間まであったハナシ。
「教科書に載ってる歴史のハナシ」ではないのである。
少なくとも「国会議員」がこの日米安保について論じる場合には、石破茂レベルの素養は必須と考える。
「日本軍と玉砕したんだよぉ〜」
と涙を流す「おばあ」と同レベルの感情論で国政を論じられては、
「斟酌する必要はない」
と言われても致し方ないと思うのである。
そんなワケで、ついに「小沢ダム」とまで言われるようになった胆沢ダムを、八ツ場ダム代表の小渕優子あたりが視察して、
「(八ツ場は中止なのに)何故ここは建設続行なの?」
と騒ぐ昨今。
着眼は面白いが、・・・
「だから八ツ場も造って下さい」
では、国民の同意は得られない。
それで土建屋から幾ら貰うんだ?
は、辺野古沿岸移設推進でも感じる疑問なのである。
解決策は、・・・
騒がれなくなるまで、「普天間飛行場の返還」は「塩漬け」でしょうなぁ。
無い答を無理に探すべきではない時も、あると思う今日この頃なのである。