盗人に追い銭

dubrock2010-02-12

家の近所に、相撲部屋がある。
ソコソコの数のお相撲さんが居るみたいだが、幕内上位の力士は居ないらしい。
それでいて、部屋は鉄筋コンクリート3階建、1階の車庫には高級外車が並ぶ。

相撲部屋って、結構儲かるんだな。

それが、正直な感想である。

実際のところは、部屋住みの力士の数によって、相撲協会から支給される金額が決まるというコトで、各部屋は新弟子の獲得に躍起。
貴闘力」などは、小学生のうちから相撲部屋に寝泊まりしていたというから、その争いの熾烈さは想像が付くというものだ。

それでいて、部屋の乱立と細分化が問題になっているという。

そもそも、力士を廃業したからといって勝手に相撲部屋を持てるワケではなく、「親方」を名乗るには、いわゆる「株」を持っていなければならない。

その「株」が廃業した力士の間で売買され、富のあるところに「株」も集中する。
それが、最近問題になった「一門」という派閥の構成要因になっているというから根が深い。
先日理事選で造反した親方だって、「借りた株」で親方と名乗っていなければ、あんなに怒られることも無かっただろう。

もともと、部屋を持つ権利のある「親方」であっても、既存の部屋に入って「コーチ」として後進の指導にあたるのが慣例とされてきた。
その「慣例」が通用しなくなった時に、出回った「株」の多さから相撲部屋が乱立し、各部屋は小さくなり、目の届かないところで事故などが起きるようになった。

この問題を相撲協会が真摯に受け止めるなら、親方の削減すなわち、「株」の回収を進めるべきである。

しかしながら他方では、「引退力士の再就職」という問題がある。

どんなに頑張っても、40まで

そんな現実の下で、まだ「舞の海」の様に大学出の力士は良い。
小錦」のように圧倒的な知名度と人気があれば良い。
中学もソコソコに角界入りして、以来相撲道一筋…
なんて、典型的なお相撲さんにとっての「再就職」は、まさに死活問題なのである。
(まさか「ちゃんこ屋」じゃあるまいし。)

そういう理由で、力士の待遇改善が言われているらしい。

なんでも、
「野球などのプロスポーツ選手に比べて、力士(横綱でも年収2000万円程度)の報酬は少ない」
というのがその論旨らしいが、果たしてこれはどうだろうか。

最近ではJリーガーと結婚する「女子アナ」がめっきり少なくなったが、あれは野球との賃金格差が理由だという。
その野球だって「ジャイアンツ」が一人で吊り上げたようなもの。
競輪選手は高級取りだが、あれは全国の自転車愛好家の皆さんが家財を売り払って賄っているだけで、誰もオッサンがチャリに乗るところを見たくてカネ出しているワケではない。

同じ格闘系ではどうか。
時に命まで落とし兼ねない「ボクシング」だって、世界チャンピオンになる前まではフリーターだかプロボクサーだかぐらい食えないレベル。
大手メディアに見捨てられたキックボクシングはもっとひどく、「プロレス」もお笑い芸人のネタになりつつある。

そんな状況で、「相撲」はどうだろうか。

「一年を〜」と川柳に詠まれた頃よりは、かなり「本場所」の開催も多くなり、合間に「巡業」もやっている。
しかしながら、「国技館」なんて常設の催事場での興行だけを取っても、それが年収一億、二億といったプレーヤー同士の見せ物として成立するとは言い難い。
だいたい、キャストが多過ぎる上に力士一人の稼動時間が短かすぎるのである。

こういったことについて、本来ならば第三者がどうこう言う資格はない。
しかしながら相撲協会には、「国技」として国庫金が支出されているのである。
これは金額の大小ではない。
たとえ1円でも、国費によって賄われる部分がある以上、協会は協会内だけの論理によって運営されるべきではないと考える。

最近では、外部から招き入れた役員の発言が反映されつつあり、「かなり改善された」と言えなくもないが、それでもやっぱり、大麻を吸った力士に退職金出したり、場所中に傷害事件を起こした横綱に「功労金」を積み増ししたりと、一般には理解出来ない部分が多々ある。

なんでも、「相撲協会は力士を解雇しない」らしい。
永く続いた角界の歴史に「汚点」を残すようなことは、記録に残らないようにするということだ。
「解雇」という規定はあるのに。

そんな、解雇直前の力士に退職金を積み増すハナシ。

それが、「モンゴル人」じゃなくても釈然としないコトに変わりはないが、「番付上位が軒並み外国人」の現状にこそ、問題意識を持つべきである。
「日本の伝統文化の継承」を、外国人に頼っていいのかというそういうハナシである。

最早日本に「国技」としての相撲なんか、無いのである。