「20歳のときに知っておきたかったことスタンフォード大学集中講義」
出版元の阪急コミュニケーションズさんからプレゼントされた本著。
最初に断っておくが、著者のティナ・シーリグは「女性」である。
「このテの自己啓発本を書くのは、たいてい男性」
なんてな思い込みで読み進めると、その誤解を恥ずかしく思う瞬間が、必ず来ることだろう。
そんなワケで、全編が「常識を覆すこと」に主眼を置いた自己啓発の本である。
「手元にある500円を、2時間で10万円にしてください」
そう言われたら、皆さんはナニを思いつくだろうか。
ワタシは、
498円のSDカードを買って、永年のコレクション動画を保存。某掲示板に「秘蔵動画購入者募集!絶対損はさせません!」と書き込んで連絡を待つ。と考えた。
実際のところ、この問題に正解はない。
答えはないが、手元にある「500円」は、無いも同然である。
この、「無いも同然」をさらに発展させるなら、「無理して500円を使う必要もない」といコトになる。
ココが、「発想の転換」である。
この「発想の転換」ができれば、要は「2時間以内に10万円稼ぐ方法」を考案すればいいことに気付く。
元手の、「微々たる500円」に囚われる必要などないのである。
スタンフォード大の学生は、週末に混み合うレストランに予め予約を入れておき、行列に並んでいる客にその予約の権利(オプション)を売却するビジネスを考案し、実行して収益を上げた。ヾ(゜Д゜ )ォィォィ
ま、そのダフ屋行為が褒められたものかは別として、それで650ドルも稼いだというのだから、たいしたものだろう。
冒頭に、「ジョシュへ、20歳の誕生日に」とある。
「ジョシュ」は著者ティナ・シーリグのご子息。
つまり本書は、晴れて20歳の誕生日を迎えた若者に、常識を覆し大きく羽ばたくことを願って書かれたものなのである。
原題は「What I Wish I Knew When I Was 20」。
邦題は「20歳のときに知っておきたかったこと」。
直訳と言えば直訳だが、その原題と邦題の間に、若干のニュアンスの違いを感じる人も多いんじゃないだろうか。
そう、こういった翻訳本にありがちなコトなのだが、文章の構成というか、ロジックが英語(というか「米語」?)で成り立っているものなので、そのまま日本語に直しただけでは違和感が残る。
というか、原文を想像しながら読み進める、といった表現が適切なのではないだろうか。
(これは「老人と海」でもそうなのだから、この本に限ったハナシではなく、「一般論」として聞いて欲しい。)
ともかく、そんな「アメリカ人のロジック」で綴られているのは、ひたすらに常識を疑い、世の中を新鮮な目で見て、実験し、自分自身で進路を描き、そして自分自身を試すこと。
ただただそれだけ、なのである。
ただただそれだけのテーマを、スティーブ・ジョブズ(アップルのCEOね。)などの実例を出しながら、丁寧に解説していく。
間違いなく、「20歳の誕生日に読んで欲しい内容」なのである。
そんなワケで、37歳にしてこの本に出会ってしまったワタシ。
あしたは、起業してみようと思う今日この頃、なのであった。
もし500円あったら、アナタならナニをする?