曹洞宗
オヤジの新盆の法要も無事に終わり、一息ついているところに入った伯父の訃報。
81歳。
暑さも厳しい折、ご高齢の訃報が相次いでいると、ちょうど話題になったばかりのことだった。
この伯父は、60で患った脳梗塞の後遺症により永く“寝たきり”の状態が続いていたものの、命に関わるような異変は告げられてはいなかった。
なので、一番驚いたのは奥方はじめご遺族の方々だったようである。
礼服を片付ける間もなく、翌日の通夜に駆けつける。
こういった場合、“死に水”を取りながらお顔を拝ませて頂くのが一般的だが、棺は閉じられたまま。
そんなことに違和感を覚えながらも、通夜の法要が始まった。
と、入場してきたのは“曹洞宗”のお坊さん。
「ソウトウシュウ」?
聞いたことはあるが、「ソウトウシュウ」と「リンザイシュウ」は、・・・
なんだっけ?_| ̄|○
こういう時にススっと薀蓄の出てこないのが非常に残念。
その坊主にお経を上げてもらうが、・・・
聞き慣れないお経というのは、なんだかムズムズするものである。
つか、読経長ぇー!
そんなこんなで焼香も無事済ませ、親族が顔を合わせての“精進落とし”の場に。
とは言ってもほとんどの参列者が車で駆けつけているので、酔って醜態を晒す者もなく静かな雰囲気に。
むかし“お葬式”と言えば、数々の伝説を残した猛者たちが居たものであったが、時代も変わったものである。
「ソウトウシュウ」って聞いたコトねぇなぁ
と、ワタシと同様の感想を述べる方が居たので、この機会にチョコっとインターネット検索など、・・・
ナニナニ?
曹洞宗(そうとうしゅう)は、中国の禅宗五家の1つで、日本においては禅宗(曹洞宗・日本達磨宗・臨済宗・黄檗宗・普化宗)の1つである。なるほど、“禅宗”の坊さんだったんだな。
本山は永平寺(福井県)・總持寺(横浜市鶴見区)。
専ら坐禅に徹する黙照禅であることを特徴とする。
どおりで、通夜の法要でまで偉そうに説教などするわけだ・・・
とひとり合点したところで、次の疑問が。
たしか伯父さんは1代目であるので、かねてよりの檀家ではなかったハズだ。
すると、伯母さんは、何故わざわざ禅宗である“曹洞宗”を選んだのであろうか。
(まあ、奥さん地元の「傑山寺(けっさんじ)」も臨済宗だから、“禅宗”がそれほど珍しいものでもないんあだろうけど。)
で、まあ外様のワタシが聞くのもアレなんで、奥さんにコソっと聞いてもらうと、・・・
「ソウトウシュウ」?
ちゃんと「なむみょうほうれんげきょう」言ってたでしょう?
ウチの近くのお寺さんで、ソコにお墓も建てたのよ。
という何とも有り難いお言葉が。
“ただ近いだけ”が選定の理由は、ウチのオヤジと一緒。
そんなワケで、49日の納骨の折には、その本堂も拝んでみたくなった今日この頃。
法事も2日続くと疲れるが、親戚一同集まっての“精進落とし”が何より疲れる、今日この頃なのであった。
永く患って天寿をまっとうした伯父だけに、その葬儀に涙はあまり見られなかったが、背を丸くして佇む伯母の姿が妙に小さく感じられ、とても印象的だった。
気を落として急に老け込むことのないようにと願う、伯父の通夜法要の夜だった。