お塩裁判のゆくえ
あれだけ叩かれながらも無罪判決を勝ち取った、元厚労省局長のオバチャンの例もあるから、審理中の事件について不用意な、あたかも有罪が確定したかのような発言は差し控えたほうがいい。
そんな昨今ではあるが、あえて判決が確定する前の事件について触れてみようと思う。
保護責任者遺棄致死などの罪に問われた押尾学被告(32)の裁判員裁判だ。
これほどまでに、被告の証言を覆す証人がでてくる裁判も珍しいだろう。
被告が、実刑だけはなんとかして回避したいと思う、その気持ちもよくわかる。
拘置所の独居房とはワケが違うのである。
もし収監されれば、雑居房に“初犯の新入り”として迎えられることとなる。
“しきたり”が分かるまではイジメにイジメられるだろうし、なにかとつっかかって来るヤツも居る。
あれだけビックマウスを叩いていたのだから、今さら「オレは平和主義」なんて言えるハズもなく、毎日アウトローの争いに巻き込まれる。
体に絵が描いてあったところで、塀の中じゃそんなの珍しくもなんともないことだし、ハッタリにすらならないのである。
というか、「自分の素性だけがバレている」というのは、これぐらい恐ろしいコトはない。
ヘタなことをして、ドコの誰かも分からない“怖いオジサン”に、「出たら覚えてろよ」なんて言われてしまったら、・・・
オレなんか、発狂してションベンダダ漏れになってしまうことだろう。
とてもじゃないが、マトモな社会復帰なんて考えられる次元じゃない。
にしても、いくら元芸能人とはいえ、法廷での審理内容が、これほど仔細に公表されていいものだろうか。
検察側は、保護責任者遺棄致死などの罪について懲役6年を求刑した。
この「保護責任者遺棄致死」という罪は、立証がとても難しいらしい。
何故なら、「人工呼吸や心臓マッサージなどの救命措置は施したが、救急車は呼ばなかった」という被告の行為が、「被害者を“死”に至らしめた」ことを証明しなければならないからだ。
救急車を呼んだら助かっていたのか?
(重度の薬物中毒状態で、救命できる確率は低かったのではないか?)
(一般人である被告が)生命に危険があると判断できるのは、いったいどの段階の中毒症状からか?
(白目を剥いていても、呼び掛けに答えるとはこれいかに?)
だいいち、持っているだけでも違法である薬物を、ともに服用しているのである。
証人のなかにも「被告から強い勧めがあった」という人が居たが、結局は自ら服用している。
無理やり飲まされたとか、飲み物に混入されたとかいうハナシではないのである。
密室で、二人が同意の上での違法状態。
これで薬物の使用がバレるのを恐れて、救急車を呼んでもらえなかったとしても、あまり文句の言えた立場ではないのが被害者。
しかしながら、・・・
個人的にはこの事件、保護責任者遺棄致死が認められる判例になればと思っている。
パトロンから提供されたヒルズの一室で、というやっかみからではない。
結構安易にクスリを服用する最近のトレンドに対して、
シャブSEXはパートナーに“もしも”のことがあった場合、救急車を呼ばないと罪が“さらに”重くなりますよ
というコトでお願いしたいのである。
それくらいの覚悟がなければ。
薬物の所持と使用くらいなら、初犯だからどうせ猶予刑♪
なんてな認識では困るという、そういうハナシなのである。
その前例となってしまった押尾被告には非常につらい結果となるが、それも“有名税”。
そう考えて頂きたい、今日この頃なのでありました。