青い海はだれのもの

記録的な猛暑が去り、北の漁場にもサンマが戻ってきたらしい。

大漁、大漁つっても、前半がサッパリだったからねぇ。
去年の漁獲高には遠く及びませんよ。

って、この漁師はどれだけ獲るつもりなんだろうか。

その昔大衆魚といったら“イワシ”が主流で、ガキの頃食卓に登った“秋の味覚”といえば、“サンマ”ではなく“イワシ”だった。
イワシは潤沢に獲れ、獲れ過ぎてその価格の安さから家畜の飼料はおろか農家の肥料にまで使われるほどだった。

それが、何時の頃からか“イワシ”を見掛けなくなり、・・・

聞けば、乱獲により漁獲高はピーク時の100分の1にもなり、庶民の食卓からも姿を消していたのだという。

その“イワシ”が、今年は不漁のサンマに変わるものとして脚光を浴びた。
なんでも、近年漁獲高の回復した“イワシ”が、“安くてオトク”のだという。

自然の力というのは実に素晴らしいものだ。
(人間の力によって)絶滅寸前にまで追い込まれた“イワシ”が、また潤沢に獲れるまでに回復したのである。
この間、漁師は、何かしただろうか。

イワシの稚魚でも放流したか?

そんなハナシは聞いていない。
イワシ漁を廃業して他の魚に転向したか、聞くのは江ノ島沖でシラス漁をしているハナシぐらい。
ただ「戻ってきて良かったね」という、そういうハナシなのである。

きのうテレビで、“シジミの密漁を摘発”というのをやっていた。

警察沙汰になった“42kgのシジミ密漁”は確かに悪質だが、・・・

「ここでは(シジミを)獲ってはいけないんですよ」と上から目線で言う“リポーター”に、違和感を感じたのはワタシだけだろうか。
イワシ”“サンマ”と違い、“シジミ”は、漁民によってその稚貝の放流などがされている。
だから、漁師以外は獲ってはいけないというのであるが、・・・

もともとは、オマエらの乱獲で生態系が崩れたんじゃないのかい?

地元館山でも、海岸沿いで“磯遊び”をしていると、時折“漁師”を名乗る人物から貝を採らないように“指導”を受ける。
誰も“サザエ”なんか獲らないし、そもそも“アワビ”に“トコブシ”なんて居やしない。

“漁業権”を主張するのであれば、観光客が少々獲っても有り余るくらいの水産資源を整備するのが、漁民の努めであると思うのは、私だけだろうか。
少々の稚貝を放流したからといって、公共の海を私物化するその論調に違和感を感じる、今日この頃なのでありました。