海上保安官は英雄か

dubrock2010-11-18


結局、政府が中国に配慮して公開を見送った“尖閣の映像”を、わざわざYouTubeにアップした海上保安官の立件は、見送られることとなった。
まあいろいろとご意見はあるだろうが、“あれ”を公開するか否かを、巡視船勤務の一海上保安官が決めて良いワケがない。
それだけは間違いないだろう。
(まあ、見ごたえのある映像ではあった、が。)

そういえばこの事件に関しては、せっかく“確保”した中国船の船長を、処分保留のまま放したあたりからおかしなコトが多かった。
(相手が相手だけに、そりゃそうなのだが、・・・。つか、漁船を追う段階から官邸に“伺い”を立てていたみたいだし。)

この、船長を放した件で、麻生だか石原だかがマイクを向けられ、

この国では“いつ”から、地裁の、次席検事が、国際情勢を鑑みた判断をするようになったのか。
みたいなことを言っていたが、たしかにその通りだと思う。
通常の公務員的思考で、そういった越権判断がされるはずもなく、つまりは背後に、政府トップの判断があったことは明白。
そうやって“くさいもの”が下に下にと流れ、最終的に現場が泥を被るというのも、組織であれば当然のことなのである。
(なんてなことは、週刊誌レベルで幾度となく書きたてられていたことだが。)

そこで、“尖閣の映像”である。

竜馬ブームだか何だか知らないが、巡視船勤務の一海上保安官が、判断することではない。
というのも、“たまたま”中国に媚びを売ることが日本の国益と考える人たちの政権下であって、空気的にも「少しは(中国に)強気の姿勢を見せろよ」というムードだから済んだようなもの。
これが、中国の資源輸出に大きく影響し、その“悪影響”を被る人の方が多くなった時に、こういった個人判断は“個人攻撃”の格好の的となる。
そんな、“一億総村八分”みたいな状況になってしまっては、いくらそれが、どんなに崇高な愛国心から生まれた行為であったとしても、攻撃される個人を守る術がないのである。
耐震偽装事件の時の設計士アネハさんを思い起こして頂きたい。結局彼の奥さんは、周囲からの批判の目に絶えかね、自ら命を絶った。報道はそれっきり収束したのである。)

組織トップの判断に不満を持ち、自ら“正しい”と思った行動をする。
それも、“海上保安官”という立場で。
立派なクーデターである。
それがまかり通るようであっては、組織が保てない。

そのことと、自国の国益を最優先に考える外交の舞台で、中国に媚びを売ることが日本の国益と考える政権に「ノー」を突きつけることは、離して考えなくてはならない。
それは、あと2年と少し以内に行われる総選挙でやること。

それまで待てない。
それまで待っては日本が潰れる。

そんな考えから自ら行動することとは、意味が違う。
それでは余りに、自民党に毒され過ぎ。

制度があって、ルールがあるのだから、それを守るのが秩序。
そして率先して守るのが、公務員であって、特に自衛官海上保安官であると思うのだが、どうだろうか。

いずれにしても、これで罪に問うとさらに立場が苦しくなるという“政治判断”から、情報漏えいについては立件しないこととなった海上保安官に、早く安息の日が訪れることを願いたい。
再就職して、“一市民”に戻れる日は来るのであろうか。

自民党公認で総選挙に出馬、なんて悪い冗談は、聞きたくないものである。